別れとスタート(随想)

3月は、別れの季節であり、次のステージへのスタートでもあります。先日、6人の役場職員が定年退職を迎えました。昭和53年から55年の入庁組で、勤務年数は35年を越え、経験豊かで優秀な人材です。私が職員時代に同時期を過ごした仲間であり、一抹の寂しさを感じますが、定年・世代交代とはこういうことと納得しなければなりません。このうち5人が再任用で、これまでの実績、経験を踏まえ、引き続き力強くバックアップしてくれるものと期待しています。
 
3.11東日本大震災から5年が経ちました。記憶とは風化していくもので致し方ないものかもしれません。しかし、震災からの教訓はしっかりと活かさなければなりません。「万全はない」、「常在危機」との覚悟で、今できることを着実に実践していくことが重要だと考えます。毎年、大きな災害で人命が失われている現実は他人事ではありません。だからこそ、本町では、大きな予算で整備したワイマックス網(地域内通信ネットワーク)が災害予知情報や避難勧告などの伝達に威力を発揮し、防災力が向上することを期待しています。
 
大震災当時、テレビのCMで流れた次の言葉が、心に沁みました。『「こころ」はだれにも見えないけど、「こころづかい」は見える。「思い」は見えないけれど、「思いやり」はだれにでも見える。』宮澤章二さんの「行為の意味」という詩です。現在、災害時などのボランティアでの活動に多くの皆さんが積極的に参加しており、勇気と希望を頂いています。思いを行動に移すことは、小さいことでも社会的に意義があることだと思います。小さくとも温かな気持ちのこもった行為の積み重ねが、社会を明るく笑顔にしてくれます。
 
「春に三日の晴れなし」と言いますが、今年の桜の開花時期は荒天が多く、満開の観賞に浸る暇もなく過ぎた気がします。本町の桜の名所「上米公園」は開花前から賑っていましたが、満開が雨天続きでちょっぴり悔しい年となりました。代わって、芝桜や菜の花が満開で見応えがあります。特に、蓼池の幹線水路沿いの芝桜は、両岸数百mにわたって見事に咲き誇っており、地元の皆さんのご努力、熱意に敬意を表します。また、しゃくなげの森は、今が見頃で5月の連休まで祭りが開催されます。本町が誇る椎八重公園のツツジとともにご来場をお待ちしております。
 
2015年国勢調査では、人口増加率が県内1位でしたが、その後の人口動態をみますと、社会動態で転出が多く、特に3月は前月比101人の減少と稀に見る数字となりました。人口減少時代を迎え、本町も例外ではないようです。いかに減少幅を小さくするか、これからが私たち、行政を担う責任者に課せられた課題と受け止めています。昨年10月に策定した本町の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に実践することが試練への第1歩と考え、危機感を官民共有して魅力ある地域づくりにチャレンジします。
 
3月18日、270名の中学生が、夢や希望を抱いて次の舞台へと巣立っていきました。前途にはいろいろな試練があるかもしれませんが、挫けることなく飛躍することを願っています。4月8日には、293名の新入生が三股中へ入学しました。少子化で生徒数が減少する中、23名増は不思議にみえますが、本町の出生数は現状を維持しています。このことは、本町の子育て支援の成果であり、より一層の拡充を図り、若者定住に繋げたいと考えます。このような中、本町のPR動画「ドキドキみまた」を製作しました。多くの方々が三股町の魅力を発見し、移住・定住の選択肢として検討して頂けたら幸いです。終わりに、皆さんにとって28年度が素晴らしい年でありますように。

平成28年4月12日
三股町長 木佐貫辰生

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